その日の前に・・・・・あなたは考えていますか?
『その日の前に』重松清著 文芸春秋社刊
ここの所バタバタとしているのですが、必要があって読書を・・・。ここの所、よく映画の原作として取り上げられる、重松清氏の作品。文藝春秋の別冊に2ヶ月おきに連載され、7編1年と2ヶ月にわたり書かれた作品。おおむねそれぞれが独立した作品ではあるが、最後の2編はそれまでの5編との関連性を持たせて書かれている。
印象深かったのは後半の3編かな。本の題名にもなっている「その日の前に」「その日」「その日のあとで」。ここで繰り返されている「その日」とは、愛する妻があの世へと旅立つ「その日」のこと。
主人公は44歳になる、結婚20年目の夫婦。去年の秋の検査で妻が、なおる見込みのない病気であることが分かる。子どもはまだ、中学生と小学生。淡々とした描写で、その日に向かって、一日一日と生活をしていく、家族。
こういった場面は、誰にでもいつかは訪れる場面。身の回りから、「死の影」が薄くなってしまった現代。歳を重ねる内に、だんだんとそういったことが気になり始めてくる。しかし、心の中の奥底にしまい込んで目を向けたくない、重箱の隅の問題。日々の喧噪に目を取られ、先送りにしてしまう内容。
どこかでこういった作品を読み、心の奥底の片隅にも、時々は光を当てなくてはならないのかもしれない。



