何に対してもやる気がなく、何事にも適当な、とある町の公会堂の管理人。その管理人が、二つのママさんコーラスの団体の、大晦日のコンサートをダブルブッキングしてしまう。それぞれの団体の熱心さにほだされて、やる気の無かった管理人が徐々に変わっていく。
映画のことに関して扱ったブログは結構多い。そもそも、物事を鑑賞するということは、たいへん個人的な行為。同じ物を鑑賞しても、どの場面がおもしろかったか、どの役者がおもしろかったか、まさに十人十色。そういった意味では、ネット上の「私小説」的な展開を見せているブログにはうってつけの内容。そういった意味では、あらすじだけを延々と書いては、ブログの読者にとってあまり有益なこととは思わない。むしろ、まったく個人的な視点で、その作品を切り取ることができるかを考えた方が有益、というのが私のスタンス。
今回の「歓喜の歌」はとりわけ「ささやかな日常」を取り扱った映画。世界が終わるというわけでもなく、スパイが大活躍をするわけでもない。登場人物も、むしろ日々の生活の中で汲々としているような人々。なかでも「北京飯店」の女将は、旦那が入院し店の切り盛りに、まさに汲々としている。けど仕事の合間、コーラスの練習だけは欠かさない。「あそこに行くと、忙しいのは私だけでないことがわかるから」のだそうだ。そんな庶民のささやかな歓びを、コミカルに描いた映画。
どの登場人物もそれぞれ生活を抱えている。悩みや苦しみも少なくない。けど、日々の忙しさに一歩下がるのではなく、むしろ半歩前に出ることで、少しでも日々の生活をよりよい物にしようとしている。そんな等身大の登場人物にこそ、我々は励まされるというものなのかもしれない。
実は、私がこの映画を見たかったのは、もう一つ理由がある。私の居住している埼玉県北の地区で、映画の撮影があったから。地元からもエキストラが動員されたそうで、私が見た映画館でも、後ろの席のおばあさん達が、画面を見ながら、「ほらほら・・あれあれ・・**さんちの**さん」とおっしゃっていた。地方の映画館ならではの光景、映画の進行に沿っての会話なので、うるさいということはなく、むしろ、観客と映画一帯となった感じ。むしろほのぼのとした雰囲気を醸し出していた。
